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緊急告知:東日本大震災に関する感染症情報のまとめ

2011年3月18日 | カテゴリー:注目情報

東日本大震災に関連するウィルス・細菌感染症情報

国立感染症研究所感染症情報センターは、3月14日、東日本大震災被災者及び医療関係従事者に対し被災地で発生が予測される感染症情報を緊急発出しました。

警戒が必要な主要感染症一覧(発表資料要約)

感染症名原因菌・ウィルス
急性下痢症ノロウィルス、ロタウィルス、その他病原性細菌
インフルエンザインフルエンザウィルス
急性呼吸器感染症(インフルエンザ以外)インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウィルス、
RSウィルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌
麻疹(他のワクチン予防可能疾患含む)ウィルス
破傷風(特に救助された被災者、救助者に対して)破傷風菌
創傷関連感染症黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、その他嫌気性菌

L.ロイテリ菌による一定の抑制効果があると確認されている病原菌・ウィルス類

【本情報提供に伴う当社見解】

  • L.ロイテリ菌は乳酸菌であり、医薬品ではありませんので医薬品と同等の即効性などの効果は期待できません。
  • 但し、現在、被災地における深刻な医薬品不足が問題となっており、医薬品は重篤な患者様から優先的に投与せざるを得ない現状を鑑み、現時点で健康体である方々には、安全性を担保した上で、少しでも多くの有益で自主的に取り組むことが可能な予防方法の情報提供が必要であると考えます。
  • 以上の見地から、当社では以下の情報を被災者及び医療関係従事者の皆様の感染症予防活動の一助とするために緊急避難措置の一環として公開致します。

L.ロイテリ菌による一定の抑制効果が確認されているウィルス、細菌類

感染症名原因菌・ウィルス
急性下痢症ノロウィルス、ロタウィルス、その他病原性細菌
インフルエンザインフルエンザウィルス
急性呼吸器感染症
(インフルエンザ以外)
インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウィルス、
RSウィルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌
麻疹
(他のワクチン予防可能疾患含む)
ウィルス
破傷風
(特に救助された被災者、救助者に対して)
破傷風菌
創傷関連感染症黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、その他嫌気性菌

太字部分について抑制効果が確認されています。

根拠学術データ(抜粋・ロタウィルス除く)

抑制可能病原菌 対照プロバイオティクス
抑制可能病原菌 Lj A1 CHCC 2329 Lr GG Lp 299v L. reuteri
リステリア菌 + ++ + + ++
黄色ブドウ球菌 + + - - ++
セレウス菌 + + ++ + ++
病原性大腸菌 + + + + ++
サルモネラ菌属ネズミチフス菌 + + - - ++
フレクスナー赤痢菌 + ++ + - ++
エルシニア菌 + ++ + + +
  • ++ 抑制効果が高い
  • + 抑制効果
  • -抑制効果無し

Reference

Jacobsen et al. Screening of Probiotic Activities of Forty-Seven Strains of Lactobacillus spp. by In Vitro Techniques and Evaluation of the Colonization Ability of Five Selected Strains in HumansApplied and Environmental Microbiology, November 1999, p. 4949-4956, Vol. 65, No. 11

抑制可能病原菌と該当病原菌による主要感染症

L.monocytogenes リステリア菌

  • グラム陽性嫌気性桿菌。発育温度域0-45C、至適発育温度30-37C、10%-30%食塩水にも耐える、食物の味やにおいを変えない。細胞内寄生体。腸管上皮細胞に侵入できる。
  • リステリア症(0.3人/10万人 EU, 2004)
  • 主として食物(食肉、乳製品、冷燻魚類、野菜)からの経口感染。髄膜炎、敗血症、胎児敗血症性肉芽腫症、髄膜脳炎
  • 風邪と類似した病理所見を示す。妊婦の発症リスクは20倍。周産期リステリア症は母体の病状は軽微でも胎盤を介して胎児に垂直感染。早産、流死産、胎児敗血症、新生児髄膜炎、新生児敗血症の原因。

S.aureus  黄色ブドウ球菌

  • S.aureus(スタフィロコッカス・アウレウス /黄色ブドウ球菌)
  • グラム陽性嫌気性球菌。人体の皮膚表面、毛孔に存在。特に鼻腔内に存在する常在菌。約30%~100%のヒトが保有(諸説あり)。創傷部などから体内に侵入した場合に発病することが多い。感染力は強い部類に属するが、菌が少なければ通常その毒性は弱い。
  • 米国ではアメリカ合衆国では毎年約50万人が黄色ブドウ球菌感染症で医療機関を受診する。抗生物質の安易な処方が原因。黄色ブドウ球菌は、特に多くの一般に利用される抗生物質に耐性(抵抗性)を持つ変種を生み出してきた。
  • 特に問題となるのは、そのような耐性菌に対し開発された薬剤に対する耐性菌が出現する点。単一の薬剤に対し耐性を獲得した菌は、耐性を有する薬剤名を冠しペニシリン耐性菌、メチシリン耐性菌はMRSA、バンコマイシン耐性菌はVRSAと呼ばれる。
  • 複数の薬剤に対し耐性を獲得した菌は多剤耐性菌と呼ばれる。なお、メチシリンに対する感受性のある菌はMSSAと呼ばれる。
  • ヒト膿瘍、表皮感染症、食中毒、肺炎、肺化膿症、髄膜炎、敗血症
  • 人工弁、人工呼吸器、中心静脈カテーテルなどが原因となる場合も多い

B.cereus セレウス菌

B.cereus(セレウス菌):グラム陽性大桿菌。通性嫌気性菌。芽胞を有す。土壌や汚水に多く常在。芽胞は100℃30分の加熱に耐え、自然環境に広く分布。70%エチルアルコールでも不活性化せず。エタノール系消毒剤に耐性獲得した菌が残存するので十分な滅菌が困難。ph4以下の酸(胃酸)で不活性化しやすい。

セレウス菌感染症
  • 感染性胃腸炎(毒素性食中毒)、菌血症、敗血症。芽胞形成のため加熱耐性を持つ。
  • 血流感染症として2006年自治医大付属病院(栃木県)にて菌血症の院内感染発生。内、2名は敗血症に発生し死亡。他1名は片目失明。シーツなどのリネンが感染源。クリーニング工場の洗濯機が原因。
  • 2007年静岡県内病院にて血流感染。リネンやタオルが原因。新生児敗血症が発生し内1名が死亡。
  • E.coli (pathogenic strain) 病原性大腸菌

    •E.coli (病原性大腸菌)
    • グラム陰性桿菌。通性嫌気性菌。一般環境に存在する腸内細菌。鳥類・ほ乳類の大腸に多く存在。大半は無害だが血液中や尿路系に侵入した場合に病原体となる。
    • 急性胃腸炎、敗血症、尿路感染症、腸管出血性大腸菌(O-157等)はベロ毒素産生により溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を起こして重篤化。

    S.typhimurium サルモネラ菌属

    ネズミチフス菌 •S. typhimurium (ネズミチフス菌/サルモネラ属菌)
    • グラム陰性通性嫌気性桿菌。通性嫌気性菌。鞭毛を有す。宿主の細胞内外双方で増殖可能な細胞内寄生体の一種。非チフス性はマクロファージによって殺菌されるが、チフス菌とパラチフス菌はマクロファージにも寄生し増殖。腸管上皮細胞に侵入。
    • 自然界で動物の消化管内、糞便に一種の常在菌として存在。ヒトにはほとんど見られない。チフス性サルモネラは患者の糞便から別のヒトに感染する。食中毒を起こすの非チフス性サルモネラと、重篤な疾患を引き起こすチフス性サルモネラに分類。加熱や洗浄が予防に有効。
    サルモネラ食中毒
    • 国内食中毒発生件数の2-3割はサルモネラ属菌が原因。
    • 腹痛、嘔吐、粘血便、下痢、発熱、菌血症により重篤化。内毒素によるエンドトキシンショックで死亡の場合がある。食品を介さないヒト-ヒト感染も発生。
    • ペット(犬、ネコ、ニワトリ、ミシシッピアカガメなど)が保菌。鶏卵の卵黄内にも細胞内寄生するので衛生的な鶏舎でも垂直感染(介卵感染)が発生し汚染鶏卵や汚染鶏肉が生産される原因。鶏卵を洗浄しても完全な予防は不可能。
    • 対症療法とニューキノロン系抗菌剤で除菌になるが、欧米では耐性菌誘発と腸内菌叢の乱れが治癒を遅らせるとして高齢者や小児を除き抗菌剤は使用すべきではないとする考え方が主流。拝菌を阻害する止瀉剤は用いない。
    腸チフス、パラチフス
    • 腸管上皮細胞を介してマクロファージに貪食され、殺菌を回避して細胞内で増殖。マクロファージが腸間膜リンパ節に感染を拡大し、リンパ節で増殖し菌血症を引き起こす。
    • 40℃程の発熱、パラ疹と呼ばれる発疹や脾腫の出現後、胆汁を通じて腸内に大量排菌され、重症例では腸壁が壊死し腸管出血が発生。その後解熱し回復に至る。
    • 生物テロに使用される危険性が指摘されており、実例も存在。アメリカ疾病対策センター(CDC)は2番目に危険性が高いカテゴリBに指定。

    S.flexneri フレクスナー赤痢菌

    S. flexneri (シゲラ・フレクスネリ / フレクスナー赤痢菌)
    • グラム陰性通性嫌気性桿菌。志賀潔によって発見されたのでshigellaとされる。
    • 一般的な感染性赤痢の原因菌。糞尿等から食物や水を介して経口感染
    • 細菌性赤痢
    下痢・発熱・血便・腹痛などをともなう大腸感染症

    日本において、細菌性赤痢は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の三類感染症に指定されており、感染が確認されたら医師は速やかに保健所に報告する義務があり、拡散を防止するために状況に応じて隔離入院させる必要がある。治療には対症療法による全身状態の改善と、抗菌薬による除菌を図る。

    Y.enterocolitica エルシニア菌

    Y.enterocolitica (エルシニア・エンテロコリチカ / エルシニア菌)
    • グラム陰性桿菌
    • エルシニア感染症

    ブタやウシなどの家畜が保菌し、汚染された食肉や牛乳・水などを通じて経口感染する。発症するのは小児が多く、腹痛や下痢・発熱などを起こす。多くは自然に治るが、敗血症を起こすなど重症化し、死亡するケースもある。感染すると血中に細菌が混入するため、輸血によっても感染する。海外では死亡例が報告されている。5℃以下でも増殖するため、低温保管された血液からも感染する恐れがある。

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