おぉ…。体内に宇宙を感じる瞬間。菌と人類の類似点。

2017年09月04日

人工衛星から見た夜の地球。都市の明かりは宇宙上空からも観察することができます。

この光の中には、そこ住む人の数だけ笑ったり泣いたりといった人生のドラマがあると思うとなんだかウルッと来るものがありませんか?そう思うと、この明かりが人の人生の輝きそのものにも見えてくるから不思議です。

さて、それではこちらの写真ですが、これはどこの都市の上空だと思いますか?

 

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©20115-2016, BioGaia AB, Colonization of L.reuteri,

 

reuteri colony2©20115-2016, BioGaia AB, Colonization of L.reuteri,

 

人類の都市形成と、菌類の”都市”形成はそっくり。

実はこれ、人体の中に住んでいる菌の”都市”、「コロニー」の写真なんです。

実際は人体内の菌が発光することはありませんが、特殊な処理でこのように光らせて撮影することができます。

この写真は私たちバイオガイア社が保有する「L.ロイテリ菌」が胃の中で定住し、コロニーを作って活動している様子を撮影したもので、通常だとコロニーには数億から数十億の菌が密集しています。

もともとコロニーという単語は「植民地、居留地」という意味があり、体内で菌達が自分のすみかを作って活発に活動している様子が、人のそれとそっくりなのでそう呼ばれるようになったのです。

 

もはや完全に都市じゃん。粘菌すげぇ…。

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これは「粘菌」といわれる種類の菌をシャーレの上で培養したもの。どうみても人工衛星から撮った夜景とクリソツではないですか?

次々と根を広げて住処を広げていく様子は、まるで都市から道路が広がって更に大きな都市へと発展していく様子と同じです。

菌たちは自分の種族が繁殖しやすいように、こんな風に集まって人体の中で一生懸命生きています。

そして病原菌などの「悪玉菌」が入ってきたら全力で戦って、悪玉菌の住処が出来ないようにしているのです。人体の健康もそうやって維持されているんですね。

 

侵入者にはスクランブル発進と空中戦、更にとどめの”ミサイル発射”で対抗するロイテリ菌

例えば胃の中にコロニーをつくったロイテリ菌は、ピロリ菌などの悪玉菌が胃に入ってくるとコロニーから次々と離れて直接侵入者のピロリ菌と戦っていきいます。

更には胃壁のあちこちに”緊急着陸”して新しいコロニーをつくり、ピロリ菌の住処を奪ってしまいます。

さらにさらに、それだけかと思いきや今度はコロニーから次々と天然の抗生物質「ロイテリン」を”発射”して胃液の中をさまようピロリ菌を退治していきます。

なんかこれって、空軍基地からスクランブル発進したり、地上から対空ミサイルを発射して敵国の侵入と戦う人類がやってる事と似ていませんか?

 

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(写真 : 北里医大撮影  胃がんや胃潰瘍の原因になるピロリ菌)

(写真 : 食中毒の原因になる球菌。胃壁上の球菌のCG)

 

Bacteria, illustration

Bacteria, illustration

 

地球は人体。人体は地球。

宇宙から見れば、青い海と空気の地球はまるで尊いひとつの生命体です。

それを宇宙から目の当たりにしたNASAの宇宙飛行士たちは、口を揃えて「地球は生きている」と発言しています。

地球上には、人類を始めとして多種多様な生物が生息しています。その生物たちのそれぞれの活動によって生み出される酸素や二酸化炭素や代謝物が地球の大気の組成分を絶妙なバランスで保ち続け、生物が生息するのに最適な状態を数十億年に亘って維持し続けているのです。

 

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それと全く同じことが体内でも起きています。

人体に住む500種500兆個以上と言われる菌たちは、それぞれの働きによって「宿主」である人体の健康を保ち、その結果として自分の住処を維持し続けているのです。

そしてそれは人体だけではありません。植物も動物も、プランクトンですら体内には菌が必ず住んでいて、その生命体を維持しているのです。

地球という命の星を維持している生物たちの体内には、その生物の命を維持するために目に見えないほどミクロのサイズの別の生物が住んで生体を維持している。

その仕組みを一体誰が創造したのかは分かりません。

しかしひとつだけ言えることは、私たち人類も壮大なスケールで営まれている「地球という生命体」一部だということであり、そして宇宙の一部であるということではないでしょうか。

私たちバイオガイア社の「Bio」は命という意味です。そして「Gaia」はギリシャ神話の大地の神ガイアに由来します。

体内のミクロの世界と、宇宙という究極のマクロの世界が持つ共通の法則に思いを馳せながら、まだ見ぬ新しい科学の領域を元気に楽しく探検していきたいと思っています。

 

Microscopic Earth

(©Getty, Microscopic Earth)